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システム開発で何を作るのか、すべてが書き出してある重要書類|第六回「システム開発の要件定義書って何?」

システム開発で何を作るのか、すべてが書き出してある重要書類|第六回「システム開発の要件定義書って何?」

システム開発で何を作るのか、そのすべてが書き出してあるという「要件定義書」。この要件定義書をベースに正式な見積りを出し、システム開発を進めていきます。要件定義書は開発側だけでなく、発注する側もしっかりと確認しておかなければならないもの。具体的にどのような内容が書かれているのか、どのような点に注目して確認すればいいのか、システム開発の要件定義書について詳しくお聞きしました。

システム開発で何を作るのか、すべてが書き出してある重要書類|第六回「システム開発の要件定義書って何?」


要件定義の工程で1番大事な書類


——早速ですが、システム開発における「要件定義書」はどういうものなのでしょうか。

第五回「システム開発の工程」でお話した工程の中に、「要件定義」がありましたが、そこで作る1番大事な書類です。今回のシステム開発で何を作るのか、そのすべてが書き出してあります。

一般的に、「仕様書」と呼ばれる資料はたくさんありますが、その中でも重要なのが要件定義書です。これがないと正式な見積りが出せません。

——すごく重要な書類なのですね。

そうなんです。要件定義書は、お客様の要望を開発側でまとめたものであり、見積りの根拠に当たるものでもあります。

お客様が「こういうシステムにしたい」といろいろと語っていただいた内容を開発会社のほうで咀嚼し、開発側の視点から「それでしたらこういう風に作りましょう」という提案も含めて要件定義をまとめていきます。

——この要件定義書に書かれていないことは、絶対に作ってもらえないのでしょうか。

絶対と言い切ることはできませんが、基本的に作ってもらえないと思っておいたほうがいいでしょう。交渉すれば作ってもらえるかもしれませんが、開発会社のさじ加減ひとつになってしまいます。

よくあるのが、システムが出来上がってきたときに、お客さまのほうで「あの機能がない」とトラブルになることです。要件定義書を見て「(要件定義書の中に)入っていない」と言われることもありますが、基本的に入っていないものは作らなければならないという根拠がありません。

そのようなトラブルを未然に防ぐためにも、口頭だけで完結せずに「要件定義書」として形に残すことが大切なんです。

——混乱しないためにも、要件定義書の確認は必須ですね。

はい。初期のヒアリング工程ではいろいろな話をするので、お客さまも混乱すると思います。“言った、言わない”のトラブルを防ぐためにも、要件定義書がすべてだと認識して進めることが大切です。要件定義書に伝えたことが入っていない場合は、入れてもらえるようにする必要があります。


機能要件と非機能要件とは


——要件定義における重要な要素はありますか?

「機能要件」と「非機能要件」が重要です。要件定義は、主にこの2つに分けられます。

——それぞれの違いは何でしょう?

機能要件は「○○機能」と言うように、何の機能なのか具体的に言えるものです。たとえば、顧客管理システムの場合は「顧客マスター登録機能」や「架電履歴管理機能」などがあります。規模が大きいシステムになると、300~500ほどの機能がズラリと並びます。

——そんなにたくさんの機能要件が……!

業務内容によって機能が異なるので、お客さまはそこをきちんと確認していただいて、求める機能が入っていない場合は追加してもらわなければなりません。

-では、もうひとつの「非機能要件」とは?

非機能要件は機能としてはハッキリしない、性能みたいなものです。たとえば、「各ページの表示時間は3秒以内」や「100人のオペレーターによる同時利用を可能にする」などが該当します。

機能が実装されているのに動作が遅いと業務システムが成り立たないので、「3秒以内に表示する」など性能をつけるのが非機能要件。これがないと、機能要件的には満たしているのに使えないシステムができてしまうことになります。

——非機能要件は、システム開発においてかなり重要なものになるのですね。

そうなんです。機能要件や非機能要件といったシステム開発の要件全体が記載されている要件定義書は、開発会社とトラブルになったときにも参照されるほど重要な書類になります。

なので、開発会社のチーム一同はもとよりお客さまも、しっかりと読み込んで確認しておかなければなりません。

第5回「システム開発の工程」でも少し説明しましたが、要件定義書を作成した後に本契約へと進むのが一般的です。けれども、開発会社の中には、契約後に要件定義書を作るところもあります。

——要件定義書の作成を契約後にすると、どのような問題が起きるのでしょうか。

その方法ですと、要件定義を固める前に予算が決まっている状態になるので、開発側は予算内に抑えるために要件を削ぎ落とすことがあります。その結果、大体の要望は満たしていても非常に簡易化されていたり、使いにくい画面構成になったり……そういうことがあるんです。


要件定義書や見積書を比較する


——たとえばの話、開発会社から最初に提示された概算と要件定義書を作成した後の見積書が全然違っていた場合、発注者はどうすればいいのでしょうか。

要件定義書の作成後に正式な見積書を確認していただきますが、最初に聞いていた概算と全然違う金額になっていた場合は、その要件定義書を持って別の開発会社にも相談することです。

——別の開発会社に相談してもいいのですか?

はい。要件定義書は通常、システム開発の本契約前に別契約で作成されるものなので、別の開発会社に相談しても問題ありません。その要件定義書を持って複数の開発会社を比較すれば、予算内で開発できるところに依頼できますから。

でも、別の開発会社に相談することを嫌がる開発会社もあります。確かに、開発側にとっては良い気分にはなりませんが、要件定義書をもらった後に見積書を再確認し、疑問点や不安要素があれば別の開発会社と比較するのも、お客さまの選択にあると思います。


まとめ


第六回「システム開発の要件定義書って何?」をテーマにお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。

要件定義書には、システム開発で何を作るのか、そのすべてが書き出してある重要書類です。この要件定義書は、開発側も発注側もしっかりと確認する必要があります。特に、発注側は

  • 要件定義書を読み込むこと
  • 機能要件と非機能要件の確認
  • 他の開発会社と比較する

  • この3点を押さえておきましょう。要件定義書に求めている要件が書かれていない場合はそのままにしておかず、その旨を開発会社へ伝えることが大切です。

    この記事の監修者

    島田 徹

    株式会社プラムザ 代表取締役

    一橋大学 経済学部卒 / システムコンサルタント
    1998年 に 28歳 で起業 / 現役のシステムエンジニア / ものづくりの第一線で活躍中
    業務システムの開発実績は 200件 以上

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