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システム開発における炎上とは? 炎上を防ぐ方法やポイント|第八回「システム開発で炎上したときはどうすればいいか?」

システム開発における炎上とは? 炎上を防ぐ方法やポイント|第八回「システム開発で炎上したときはどうすればいいか?」

SNSなどインターネット上で、炎が燃え上がるように批判や誹謗中傷が集中的に集まる状態を指す「炎上」。システム開発においてもさまざまな原因がきっかけとなり、開発会社と発注者のコミュニケーションが不可能になる“炎上”が起きることがあるそうです。一体どのような原因で炎上が起きるのか、その炎上を防ぐにはどうすればいいのか、システム開発の炎上について詳しく伺いました。

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炎上が起きる5つの原因


——システム開発における“炎上”とは、どのような状態なのでしょうか。

火が燃えてどうにも収まらなくなるという意味では、世間でよく言われている“炎上”と少し似ています。

きっかけはいろいろありますが、システム開発のプロジェクト期間が延び、予算を超過し、品質が低下し、開発会社や発注者側のストレスが高まって話し合いもできず、にっちもさっちもいかなくなっている状態が炎上です。

炎上が起きる原因はほぼ開発者側にありますが、システム開発は発注側のお客さまと一緒に作る共同作業ですので、お客さまに原因がある可能性もあります。

——炎上が起きる原因は何でしょう?

よくある原因として、下記の5つが挙げられます。

  • 不十分な計画や設計(開発者側の経験不足)
  • 不必要な高度技術の採択
  • 発注者側の心変わり、確認不足、社内協議不足
  • コミュニケーション不足
  • 開発者への過剰な負担


まず1番目の「不十分な計画や設計」は、開発者がいい加減な設計をしたり、不十分な計画を立てたせいで開発がうまくいかなかったりするなど、開発会社側の経験不足によることが多いです。

特によくあるのが、思っていたよりも実装に工数がかかってしまったというケース。見積った予算の限度を超え、『追加の費用がかかる』と言いだし、お客さまが怒ってしまい、コミュニケーションが取れなくなります。

それによりさらに、実装に工数がかかるというループに陥ってしまうんです。

——システム開発において、コミュニケーションが取れなくなるのは深刻な事態ですね。

そして、2番目の「不必要な高度技術の採択」もよくあるパターンです。オーソドックスな方法で行えばよかったのに、開発者側がトライしてみたい興味のある技術を採用してシステム開発を行った結果、思いの外コストがかかり、納期が延び、開発者側と発注側のコミュニケーション不足につながる。これも負のスパイラルに陥りやすくなります。

1番と2番は明らかに開発者側に原因がありますが、先ほども言ったように、システム開発は開発会社とお客さまとの共同作業になりますので毎回開発者側に原因があるとは限りません。

作っていくうちに発注者側が心変わりしたり、仕様の確認書類をしっかりと見ていなかったり、然るべき社内の人間に見てもらわずに開発を進めてしまったり……3番目の「発注者側の心変わり、確認不足、社内協議不足」も結構よくある炎上の原因です。

——発注者側も炎上しないように気をつけなければならないのですね。

はい。4番目の「コミュニケーション不足」においても開発者側から質問をしても返答がいただけなかったり、お客さまとの伝達不足が起きたりすることがあります。

そういうときは開発者側のほうでしっかりと意思疎通を図らなければなりませんが、それが思うようにいかず、開発会社とお客さまのコミュニケーション不足によって炎上してしまう可能性があるんです。

——開発者側と発注者側、一緒に足並みを揃えて作ることが大切なのだと。

そうですね。本来は、システム開発のプロである開発者側のほうからお客さまに対して「このような画面で大丈夫ですか?」「少し使ってみていただけましたか?」と頻繁に確認しなければなりません。

実際に、開発会社側から連絡も確認もなく、そのまま待ち続けていたら「できました」という報告と共に、要望とは異なるシステムを見せられたというトラブルも起きています。

そのようなトラブルを防ぐためにも、開発者側と発注者側それぞれでコミュニケーションを取ろうとする姿勢が必要です。

積極的にコミュニケーションを取ろうとしない開発会社は炎上のリスクが高いので気をつけたほうがいいでしょう。

——最後の5番目「開発者への過剰な負担」はどういうことでしょうか?

システム開発をするエンジニアに大きな負担がかかることです。エンジニアに負担がかかる原因としては、開発会社側の上役が過剰な業務量をエンジニアに与えているパターンと、エンジニアに対してお客さまが直接指示をされるパターンがあります。

——開発をするエンジニアにお客さまが直接指示をされるパターンとは?

たとえば、エンジニアを会議に同席させるとお客さまから「なんでこれができないんですか!?」と責められるなどです。

お客さまの中には“言えば簡単に直る”と思っていらっしゃる方がいますが、実際はお客さまに説明が難しい影響を色々と考えていることがあり、その先入観でプログラムの修正を依頼するとエンジニアに心理的に過剰な負担がかかり、より良いシステムが開発できなくなります。

一般的にはエンジニアは顧客折衝が苦手な人も多く、強く追及されると落ち込みますし、パフォーマンスにも悪影響を及ぼす恐れがありますので、当社では開発者(エンジニア)は同席させないようにしているんです。

エンジニアのパフォーマンスはシステム開発の品質にもつながる大切な要素ですので、当社ではエンジニアにとってもお客さまにとっても気持ちよくやり取りできる環境を大切にしています。


火消し役となる第三者の参画


——システム開発の炎上において、1番怖いことは何でしょう?

開発会社にとって1番怖いのは、お客さまからシステム開発に必要な情報が得られなくなることです。

たとえば、テストフェーズの場合、実際にシステム画面を触っていただいたお客さまからのレビューを受けて修正し、再びテストを行います。そのフェーズを繰り返すことで、より良いシステムへと改善できるんです。

しかし、お客さまからレビューがいただけない状態になると、最終的にお客さまが求めているシステムとは全然違うものになってしまう恐れがあります。その逆もまた同じように、開発会社から確認のタイミングをもらえないとお客さまはレビューを出すこともできません。

そのような事態にならないようにするためにも、開発会社とお客さまがお互いにコミュニケーションを取りながら都度進捗を確認することが大切です。

——一度炎上すると、元の状態に戻すことはできないのでしょうか。

開発者側と発注側での打ち合わせは感情的になり、非生産的な議論が続いてしまうので、開発会社とお客さまを含めたプロジェクトチーム内でのリカバリーはほぼ不可能だと思ったほうがいいでしょう。

ですので、外部の開発会社やシステムコンサルタントといった第三者に事態の収拾をお願いしたほうがいいと思います。

その分コストはかかりますが、コミュニケーションがうまく取れないまま議論を続けたほうが余計にコストがかかるので、そこは割り切り第三者に参画してもらうのがベストです。

——第三者を入れる場合、発注者側が気をつけるべきことはありますか?

ケンカ腰にならないことが大切です。たとえば、今途中まで出来ているシステム開発を他の開発会社が引き継いで作ってもらう場合、今まで作ってきた開発会社の協力が絶対に必要になります。

開発者側と発注者側のどちらもそれぞれの言い分がありますので、第三者を自分の味方にしようとすればさらに燃え続けてしまい、最終的には裁判で争うことになるでしょう。

また、火消し役になる第三者を参画させるのは普通1回限りですので、慎重に、冷静に、双方の歩み寄りが重要になります。


炎上を防ぐには?


——炎上が起きないように発注者側が心がけるべきことを教えてください。

基本的に、炎上のきっかけになるのは7~8割が開発者側の経験不足ですので、発注者となるお客さまは、業務システム開発の経験が豊富な会社を選ぶことがひとつのポイントになります。

あとは、インターネットで口コミや評判を調べるのも大事です。お客さまとトラブルになっている開発会社は常にトラブルを起こしているのでそれなりの口コミがあります。

どのようなところが悪かったのか、なぜトラブルが起きているのか、開発会社の対応もよくチェックしてみると良いかもしれません。

——それでも開発会社選びに悩んだときはどうすればいいでしょうか?

そういうときは、先にシステムコンサルタントと契約して一緒に選んでもらうのがおすすめです。

できれば、見積りを集めるための要件出しを行うときからシステムコンサルタントに入ってもらい、お客さまのやりたいことをシステムコンサルタントを介して開発会社に伝えてもらいます。

システムコンサルタントは定期的に開発面談を行ったり、進捗をチェックしたり、進捗や進め方に違和感を覚えたらプロの視点から確認を入れて、場合によっては改善を要求する立場なので、開発会社とお客さまとの意識のズレが起きにくくなります。

多少コストはかかりますが、炎上を防ぐためにシステムコンサルタントを探すところから始めるのも方法のひとつです。

——島田さん自身、システムコンサルトとして炎上案件に携わったことはありますか? 参考として、実際にあった出来事を教えていただけたらと思います。

私はシステムコンサルタントが本職なので、そのようなことはよくあります。ただ、私が介入しても開発会社とお客さまがずっとケンカをしていて、なかなか双方の熱が収まらないということがありました。建設的な話になったかと思えば昔の話が掘り起こされ再びケンカ腰になってしまうという負のループに陥っていたんです。

契約書や仕様書が残っていればいいのですが、結局は言った言わない論争になり、開発者側もお客さまもお互いに一歩も引かなくなります。

燃え始めた炎を一刻も早く消すためには、昔のことよりも未来を見据えていかないといけないので「不要なことは言わない」のが1番です。


まとめ

第八回「システム開発で炎上したときはどうすればいいか?」をテーマにお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。

システム開発における炎上はプロジェクト期間が延び、予算を超過し、品質が低下し、開発会社や発注者側のストレスが高まり、にっちもさっちもいかなくなっている状態のことです。その炎上が起きる主な原因としては、

  • 不十分な計画や設計(開発者側の経験不足)
  • 不必要な高度技術の採択
  • 発注者側の心変わり、確認不足、社内協議不足
  • コミュニケーション不足
  • 開発者への過剰な負担

  • の5つがあります。開発会社と発注者のコミュニケーションが取れなくなるため、炎上が起きた際はシステムコンサルタントといった第三者を参画することが大切です。

    さて、次回は「Web3.0って何?企業に必要?」をテーマにお話を伺います。“次世代のインターネット”と呼ばれる”Web3.0”と業務システム開発はどのような関わりがあるのでしょうか。次回もぜひご覧ください。

    この記事の監修者

    島田 徹

    株式会社プラムザ 代表取締役

    一橋大学 経済学部卒 / システムコンサルタント
    1998年 に 28歳 で起業 / 現役のシステムエンジニア / ものづくりの第一線で活躍中
    業務システムの開発実績は 200件 以上

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