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システム開発が学べるコラム
業務システム開発と「Web3.0」は関係ない!? Web3.0で変わる部分とは|第九回「Web3.0って何?企業に必要?」
分散型の次世代インターネットとして注目されている「Web3.0」。今、私たちが使用しているサービスのほとんどは「Web2.0」で、SNSの普及と同時に多くの人がインターネットで繋がれるようになりました。しかし、セキュリティや個人情報漏洩のリスクなどが問題になっています。それらの問題点を解消してくれるのが「Web3.0」です。今回は、その「Web3.0」は企業に必要かどうか、システムコンサルタントの視点からお話して下さいました。
目次
動的な入力フォームなどが可能に
——最初に、「Web3.0」に至るまでの変遷を教えてください。
大きく分けると、インターネットが普及し始めた頃に登場した「Web1.0」と、2000年代半ばに登場し、今私たちがほとんどのサービスで使用している「Web2.0」があります。
「Web1.0」はまだ発信するユーザーが少なく、企業や官公庁などが一方通行で情報を発信するためにインターネットを使っていました。「Web2.0」になると、YouTubeやTwitterなどを通してたくさんの方が情報を発信できるようになりましたが、そういった情報が1箇所のサーバーに集約されてしまいます。
たとえば、FacebookならFacebookのサーバー、TwitterならTwitterのサーバーがありますが、そこがサイバー攻撃されると情報が全部漏れてしまいますし、データが改ざんされるリスクも出てくるんです。
——それらのリスクは、1箇所のサーバーに情報が集約されていることが問題なのでしょうか。
はい。1箇所のサーバーで管理されているので、そこを攻撃されるとすべてがダメになってしまいます。そういうことが起きないように考えられたのが「Web3.0」です。
——業務システム開発においても、「Web1.0」から「Web2.0」への変遷で変わった部分があったのでしょうか。
「Web1.0」から「Web2.0」は主に双方向発信の技術的発展で、業務システムも劇的に変わりました。
「Web2.0」でTwitterやFacebookといったサービスが登場し、ユーザーがアップしたものを即時に反映することができました。
入力したものがすぐにアップされ、共有されるという意味では、企業の中で使う業務システムと通ずるところがあります。
——具体的に、どのようなところが変わったのでしょうか。
動的な入力フォームが作れるようになったことなどです。
たとえば、お問い合わせフォームの場合、「Web2.0」が登場する前は名前や住所を入力し「送信」を押せば、システムへ送信されるだけのものでした。
「Web2.0」の登場によって、ユーザーが選んだ選択肢や、データベース内に保存されている情報に合わせた項目を表示したり、セクションの表示がコントロールできたりするようになったんです。
——静的なものから動的なものに変わったのが「Web2.0」なのですね。
はい。動的な入力フォームの手法として「Ajax」という技術がありますが、“非同期通信”が大きな特徴となっています。
非同期通信とは、送信者のデータ送信の官僚を待たずに表示を変えてしまう方法のことです。
たとえば、Twitterで“いいね”ボタンを押すとすぐに赤いハートマークがつきますよね。「いいね」を押した人はその変化で“いいね”ボタンを押したことがわかりますが、実はまだTwitterのサーバーにその情報が送られていない状態なんです。
とりあえずユーザー側に見える形にしておいて、後でサーバーに情報が送られ、何も問題なければそのままにしておき、問題があればハートマークを元の状態に戻しています。
——それが「Ajax」という技術の特徴だと。
そうです。従来の静的な入力フォームだと、ユーザーがリクエストをしてもすぐに反映されず、サーバーからのレスポンスを待ってから反映する仕組みでした。
ユーザーにとってもストレスを感じさせない機能がたくさん出てきたのが「Web2.0」なんです。
データを分散させる「Web3.0」
——「Web2.0」で飛躍的な進化を遂げましたが、その「Web2.0」にも大きな問題があるとか。
最初にも少しお話したように、①データが改ざんされる、②データがごっそり持って行かれる、というセキュリティ上の大きな問題があります。
今でも毎日のようにデータの漏洩事故が起きていますが、それらの問題を解決しようと生まれたのが「Web3.0」です。
——実際のところ、「Web3.0」は業務システム開発に関係があるのでしょうか。
結論からいいますと、業務システムにおいてはほとんど関係ありません。
在庫数がいくつあるのか、ユーザーからのクレーム内容など、基本的に業務システムで管理するデータは自社のサーバー内で蓄積し、外部に公開しないようにしておくべきものです。
それをみんなで共有する必要はなく、適宜システム管理者が自由に書き換えられる状態のほうが良いとされています。
なので、特定の管理者に依存せず、データや情報を分散し、個人それぞれで管理する「Web3.0」は業務システムとは異なります。
——なるほど。
今、業務システムでも積極的に外部のクラウドサーバーを使用するのが主流になっていますが、外部の人にデータを見られるリスクがあります。
そのため、絶対に見られないように社内にサーバーを置き、社内の中でしかアクセスできない「オンプレミスサーバー(※)」を使用する企業もあります。
(※:自社で個別に管理しているサーバーのこと。)
「Web3.0」は「Web2.0」で懸念されていたセキュリティ面が改善されていますが、その一番革新的な発明は、データを分散させて持つということです。
これは“ブロックチェーン技術”と呼ばれるもので、データベースを1箇所に置かず、たくさんの端末に同じデータを保持しておき、変更があればすべての端末を書き換える仕組みになっています。
——プログラムで自動的にすべての端末のデータを書き換える、ということでしょうか?
そうです。詳しい話はここでは割愛しますが、スマートコントラクトという技術で複数の端末上のデータを一斉に書き換えることができます。
これまでの「Web2.0」は、データーベースが1箇所に集められていたので、それが改ざんされてしまうと、実際何が正しいデータなのか分からなくなってしまうというのがデメリットでした。
しかし、「Web3.0」であちこちにデータベースを置くことで、自分の知らないところであるデータが変更されたとしても、他のデータに変更がなければ、何か不正な方法で改ざんされたとわかります。
業務システム開発にはほとんど関係ない
——「Web3.0」が注目されているので、業務システム開発にも影響するのかな?と感じる方は多いと思います。
業務システムは自社で完結すべきデータですが、「Web3.0」では自社のシステム内で完結すべきではないデータを分散させることになります。
金融系システムとの連携などでは「Web3.0」の技術を活用する必要がありますが、プログラムの書き方など開発者側の注意点が変わるだけですので、ユーザーが気にする必要はありません。
業務システムは社内の情報なのでしっかりと社内で蓄積し、外部へ公開しないようにすべきデータであり、「Web3.0」のようにデータを分散させる必要がないことを理解していただけたら大丈夫です。
どうしても気になる方は、開発者側やシステムコンサルタントに相談してみることをおすすめします。
——では、どのような分野が「Web3.0」を取り入れるべきなのでしょうか。
銀行口座など金融系システムとのデータ連携や、オンライン販売のプラットフォーム、クラウドサインといった電子契約などでしょう。
金融系システムやオンライン販売のプラットフォームは、データ共有と透明性、支払いや取引の安全性向上が必要になります。
さまざまなところにデータベースを置くことで、データを改ざんされたり持っていかれたりということがないようにできるので、「Web3.0」は、金融系やオンライン系のプラットフォームで導入されるケースが増えると思います。
まとめ
第九回「Web3.0って何?企業に必要?」をテーマにお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。
世間で注目されている「Web3.0」はデータを分散させることで、データの改ざんや情報流出防止などセキュリティ面の向上が期待できます。特に、
- 金融系システムとのデータ連係
- オンライン販売のプラットフォーム
- 電子契約
において、「Web3.0」が活用されていくことになるでしょう。業務システムで管理しているデータは社内で蓄積し、外部へ公開しないようにすべきデータですので、「Web3.0」とはほとんど関係ないことがわかりました。
さて、次回は「メタバースって何?企業に必要?」をテーマにお話を伺います。「Web3.0」と同じく、最近よく耳にするメタバーストは一体何なのか、業務システム開発と関係があるのか……次回もお見逃しなく!
株式会社プラムザは、開発実績25年・取引企業数300社のシステム開発会社です。さまざまな業種・業界で使用されるオリジナルのシステム構築を得意としています。
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